回転性めまいのあと朝のふわふわめまいが残り、仕事を退職するほど悪化した

女性 50 代
担当鍼灸師:東尾 静香

数年前から、身体が浮いているような「ふわふわするめまい」を繰り返していました。

症状は特に朝に強く出やすく、起床後から身体が安定しないような感覚が続いていました。日によって多少の波はあるものの、長期間めまいが続いていたため、次第に日常生活にも影響するようになっていました。

さらに来院する約2週間前、これまでのふわふわした感覚とは異なる、周囲がぐるぐる回るような回転性めまいが突然出現しました。

 

医療機関を受診したところ、良性発作性頭位めまい症(BPPV)の疑いと診断されました。その後、強い回転性めまいについては落ち着いたものの、

「ぐるぐる回るめまいはなくなったのに、朝になるとふわふわする」

という状態が残りました。

また、以前から首や肩のこり、目の疲れも強く感じていました。

めまいが長く続いたことで仕事を続けることも難しくなり、最終的には退職せざるを得ない状況となっていました。

「検査や強い回転性めまいは落ち着いたものの、ふわふわした感覚がなくならない」という悩みから、鍼治療を希望され当院へ来院されました。

通院頻度・回数

週1~2回 計10回

施術と経過

●初診時の所見

初診時に身体を確認すると、特に目立っていたのが首・肩・背中にかけての強い筋緊張でした。

今回の症例で当院が特に注目したのが、この首周辺の緊張です。

当院では、回転性めまいが長引く方の身体を確認すると、首こり、とくに耳周辺につながる胸鎖乳突筋周辺に強い緊張がみられることが多いと考えています。

首周辺の筋肉が強く緊張した状態が続くことで、内耳周辺の血流やリンパの流れにも影響し、平衡感覚に関係する耳の機能へ負担がかかることが、めまいが長引く背景の一つになっていると当院では分析しています。

今回も、回転性めまいが起きたあとにふわふわするめまいが残っており、首・肩・背中には強い緊張が確認されました。

さらに目の疲れも強く感じていました。

目を長時間使うことで頭部や首周辺の筋肉が緊張し、それがもともと強かった首こりをさらに悪化させていた可能性も考えました。

つまり今回の症例では、

眼精疲労や身体の緊張→ 首肩・背中の強いこり→ 耳周辺の首筋も緊張→ 内耳周辺の循環への負担→ 回転性めまいが落ち着いたあとも、ふわふわする感覚が残る

という身体の状態を想定しました。

そこで、単にめまいがあるから耳や頭に鍼をするのではなく、首こりそのものを作っている原因を身体全体から探していくことを施術の中心としました。

● 施術後の経過

【初回】

初回は、首肩の緊張が非常に強かったものの、首のこっている部分へ直接鍼をすることはせず、臀部・足・手のツボを中心に施術しました。

臀部や下肢から骨盤周辺のバランスを整え、身体全体の筋緊張を緩和することで、結果として首肩への負担を減らすことを目的としました。

また、手のツボも使用し、上半身から首にかかっている緊張を調整しました。

施術後には、

「ふわふわする感じが3割くらい楽になった」

との変化がみられました。

同時に首肩の張りにも変化が確認できたため、この身体の状態とめまいには関連性がある可能性が高いと判断し、同じ方向性で施術を継続しました。

【2~3回目】

2回目以降も、臀部・手足のツボから首肩・背中の緊張を整える施術を継続しました。

さらに身体の緊張が緩んできた段階で、症状に合わせて頭部や目に関連するツボも加えました。

施術を重ねるにつれて首肩や背中の張りが徐々に軽減し、それに伴って朝に感じていたふわふわするめまいの頻度や程度にも変化がみられるようになりました。

【4回目】

4回目の施術を終えた頃には、ふわふわするめまいはほとんど気にならない程度まで軽減しました。

数年間めまいが続き、仕事を辞めるほど日常生活に影響していたことを考えると、大きな変化でした。

【5~7回目】

その後、途中で熱中症による一時的な体調悪化がありました。

全身状態が低下したため、その時々の身体の状態に合わせながら施術を継続しました。

しかし、以前のような強いめまいが再び続くことはなく、7回目頃にはめまいによる日常生活上の支障はほぼなくなりました。

【8~10回目】

めまいが落ち着いた後も、首肩・背中の緊張や身体全体の状態を確認しながら施術を行いました。

最終的にはめまいが安定した状態を確認し、計10回で一連の施術を終了しました。

そして今回の症例で大きな変化となったのが、めまいによって一度は退職していたものの、症状が落ち着いたことで別の職場へ再就職できたことです。

使用したツボ(施術部位)

百会

頭部のツボ、後頭部の緊張緩和及び下腹部の緊張を緩和を目的で使用しました。

目窓

頭部のツボ、今回は眼精疲労も伴っていたため、目と頭部周辺の緊張を考慮して使用しました。

水泉

足部のツボ、後頭部の筋緊張の調整を目的で使用しました。

胞肓

臀部にツボ、姿勢改善から身体全体の緊張を整える目的で使用しました。

合谷 

手のツボ、眼精疲労から来る首周囲(特に胸鎖乳突筋)の緊張を調整する目的で使用しました。

まとめ:当院(鍼灸TAKA)の症状の分析

今回の症例で特徴的だったのは、良性発作性頭位めまい症の疑いと診断された回転性めまいが治まったあとも、朝のふわふわするめまいが残り続けていたことです。

そして身体を確認すると、首・肩・背中には非常に強い緊張がありました。

当院では、回転性めまいがなかなか改善しない方では、耳周辺につながる首の筋肉、特に胸鎖乳突筋周辺の緊張によって内耳周辺の血流やリンパの流れに負担がかかっていることがあると考えています。

 

今回もこの考え方から、耳や頭だけを施術するのではなく、

「なぜ首がこれほど硬くなっているのか」

という部分を重視しました。

そこで、強くこっている首へ直接鍼をするのではなく、臀部・足・手など、首肩の緊張を作っていると考えられる離れた部位から身体を整えることを施術の中心としました。

さらに今回は眼精疲労も強かったため、目から首へかかる負担も考慮し、状態に応じて頭部のツボを組み合わせました

 

その結果、初回からふわふわするめまいが約3割軽減し、4回目にはほとんど気にならない状態となりました。その後も身体の状態を整え、最終的には日常生活上の支障がなくなり、再就職することができました。

この症例は、「回転性めまいそのものは治まったのに、なぜかふわふわする感じだけが残る」というタイプのめまいでも、首肩の緊張や、その首こりを作っている身体の原因まで確認することが重要だった症例と考えています。

回転性めまい後に残った「朝のふわふわめまい」でお悩みの方へ

「最初はぐるぐる回っていたが、その後ふわふわするめまいだけが残った」

「朝になると身体が浮いているように感じる」

「首肩こりや目の疲れが強い」

「病院で治療を受けても、完全にはスッキリしない」

このような場合、耳だけではなく首周辺の筋緊張や、その首こりを作っている身体の特徴・生活習慣まで確認することが重要だと当院では考えています。

今回の症例のように、症状だけではなく「なぜその首こりが生じているのか」まで身体全体から分析し、一人ひとりの状態に合わせて施術を組み立てています。

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