【疲れると悪化する】両耳管狭窄症による耳の詰まり感・耳鳴り

50代・女性
担当鍼灸師:渡辺 賢司

50代女性が、両耳の詰まり感と耳鳴りを主訴に来院されました。

症状が現れ始めたのは来院の約2〜3ヶ月前です。この時期は、お子さんの世話や送迎、家事などが重なり、以前よりも日常生活での負担が大きくなっていました。

忙しい生活を続ける中で次第に耳が詰まったような感覚や耳鳴りを自覚するようになり、医療機関を受診したところ、両耳管狭窄症と診断されました。

特徴的だったのは、症状の程度が一定ではなかったことです。

特に目を使って疲れたときや、身体全体に疲労が溜まったときに耳の症状が強くなる傾向がありました。休むことができれば身体への負担を減らせますが、実際には育児や送迎、家事など、症状があってもこなさなければならないことが多く、十分に身体を休ませることが難しい状況でした。

また、耳症状だけでなく、口が開けにくいという症状も併発していました。

耳の詰まり感や耳鳴りに加えて、目の疲れ、身体の疲労、口の開けづらさなど複数の不調が重なっていたことから、耳だけに問題があると考えるのではなく、身体全体の緊張状態を確認しながら施術を行うことにしました。

通院頻度・回数

週1~2回 計7回

施術と経過

●初診時の所見

初診時に身体の状態を確認すると、首から肩にかけて強い筋緊張が認められました。

特に左右差があり、左側の首肩の緊張が強い状態でした。

今回の症例では、耳の症状が目や身体の疲労によって悪化するという特徴がありました。また、育児・送迎・家事などによる身体的な負担が続いていたことに加えて、口の開けづらさも併発していました。

そのため当院では、耳周辺だけに鍼をするのではなく、まず首肩を含めた身体の緊張を整えていくことを施術の中心としました。

初回は、臀部と頭部のツボを使用して施術を行いました。

施術直後には耳の詰まり感や耳鳴りそのものには大きな変化がみられませんでしたが、触診で確認されていた首肩の張りには軽減が認められました。

耳症状にすぐ変化が出なかったからといって施術方針を大きく変更するのではなく、身体の緊張には反応がみられていたため、その変化を確認しながら同じ方向性で施術を継続しました。

【第1〜2回目】

初回施術後、首肩の張りには軽減がみられたものの、両耳の詰まり感や耳鳴りについては明確な変化を感じていませんでした。

そこで2回目も、首肩の緊張状態を確認しながら、初回と同様の方針で施術を行いました。

今回のように数ヶ月にわたり症状が続き、さらに日常的な身体への負担も継続している場合には、一度の施術による変化だけで判断するのではなく、身体の反応を確認しながら経過を見ることも重要だと考えています。

【第3回目】

施術を継続したところ、3回目の施術後に変化が現れました。

右耳の耳症状が改善し、左右差が明確になりました。

それまで両耳に感じていた症状のうち、右側が先に改善した一方、左耳には詰まり感などが残っていました。

初診時には首肩の緊張も左側に強く認められていたため、身体の左右差も確認しながら引き続き施術を行いました。

【第4〜6回目】

その後も施術を継続しましたが、途中で風邪をひいたことをきっかけに耳症状が一時的に悪化しました。

耳の状態だけをみると一度後退したようにも感じられますが、体調を崩した時期と重なっていたことから、経過を確認しながら施術を継続しました。

そして6回目の施術後には、残っていた左耳の症状にも改善がみられました。

右耳が先に改善し、その後、時間差をもって左耳にも変化が現れた経過となりました。

【第7回目】

耳症状の改善を確認しながら身体の状態を整える目的で施術を継続しました。

また施術期間中には、耳とは別に膝の痛みが出現しました。

膝の状態を確認したうえで下腿外側のツボを使用して施術を行ったところ、こちらについても改善がみられました。

最終的に計7回の施術を行い、当初悩んでいた両耳の症状について改善を確認しました。

特に効果のあったツボ(施術部位)※L=左側,R=右側

胞肓 LR

骨盤周囲から姿勢調整を行い上半身の緊張を調整する目的で使用しました。

外谷 L

母指・示指の間のツボからアゴ周囲の緊張を調整する目的で使用しました。

玉竧 LR

下肢外側のツボから側頸部の緊張を調整する目的で使用しました。

膀胱兪 LR

骨盤周囲から身体全体の緊張を調整する目的で使用しました。

百会 

頭部のツボから身体全体の緊張を調整する目的で使用しました。

 

※実際の施術では、その日の身体の状態を確認したうえで使用するツボを選択しています。

※以上のツボ以外にも合計10か所以下を施術

当院(鍼灸TAKA)の考察

今回の症例で特に注目したのは、耳症状が単独で現れていたわけではなく、日常生活での疲労と連動して変化していたことです。

患者様は両耳管狭窄症と診断されていましたが、症状が始まった時期には、お子さんの世話や送迎、家事などが重なり、身体への負担が増えていました。

さらに、

「目が疲れると耳の症状も悪化する」

「身体が疲れると耳の詰まりや耳鳴りが強くなる」

という特徴がありました。

 

初診時には実際に首肩の緊張が強く、特に左側に顕著な張りが認められました。また、口が開けにくいという症状も併発していました。

こうした状態から当院では、今回の耳症状について、耳だけを局所的にみるのではなく、育児や家事による疲労、首肩の筋緊張、目の疲れなども含めて身体全体の状態を整える必要があると考えました。

経過にも今回の症例ならではの特徴があります。

初回施術では耳症状そのものには変化がありませんでした。しかし、首肩の緊張には軽減がみられ、その後施術を継続することで、まず右耳が改善し、遅れて左耳も改善しました。

 

また、途中で風邪をひいた際には一時的に耳症状が悪化しています。

このことからも、今回の患者様の耳症状は常に一定なのではなく、その時々の体調や身体への負担によって変化しやすい状態だったことがうかがえます。

特に、家事や育児などは「身体が疲れているから今日はやめる」ということが難しいものです。休みたくても休めず、疲労が積み重なった状態で毎日の生活を続けなければならないこともあります。

今回の症例では、そのような生活背景も確認しながら施術を継続した結果、3回目には右耳、6回目には左耳と、段階的に症状の改善がみられました。

 

耳管狭窄症をはじめ、耳の詰まり感や耳鳴りにはさまざまな原因があります。そのため、まず耳鼻科で必要な検査・診断を受けることが重要です。

そのうえで、「疲れると耳が詰まる」「目や首肩が疲れると耳鳴りが強くなる」「病院で治療を受けているものの耳の違和感が残っている」という場合には、耳だけでなく首肩をはじめとした身体の緊張や日常生活での負担にも目を向けることが、一つの選択肢になると当院では考えています。

疲れると耳の詰まり感や耳鳴りが悪化する方へ

耳の症状が続いていると、「また悪化するのではないか」と耳の状態そのものが気になってしまうことがあります。

特に、家事や育児、仕事などで休む時間を確保しにくく、疲労すると耳の詰まり感や耳鳴りまで強くなる方は、耳だけでなく首肩など身体全体の状態を一度確認してみることも大切です。

「耳管狭窄症と診断されているが症状が続いている」「疲れると耳の調子が悪くなる」「首肩こりや目の疲れも一緒に感じる」という方は、お気軽にご相談ください。

現在の状態を確認したうえで、当院で対応できる症状かどうかも含めてご案内いたします。

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