天候が悪いと繰り返す両耳の詰まり感 吐き気や胃の不調も併発

30代・女性
担当鍼灸師:渡辺 賢司

30代女性が、繰り返す両耳の詰まり感と吐き気を主訴に来院されました。

吐き気については来院の1年以上前から時折感じることがありました。当初は症状が現れても比較的すぐに治まっていたため、大きな問題にはなっていませんでした。

ところが、来院の約2ヶ月前から状態が変化します。

それまで一時的だった吐き気が頻繁に起こるようになり、それと同じ時期から両耳が詰まったような耳閉感も繰り返すようになりました。

特に特徴的だったのが、症状に波があることでした。

吐き気は一度始まると2週間から長いときには1ヶ月半ほど続き、そのような時期が3~4ヶ月おきに繰り返される状態でした。

耳の詰まりについても一定ではなく、「2日ほど調子が良いと、その後2日ほど悪くなる」というように、良い日と悪い日を周期的に繰り返していました。

 

さらに、雨や気圧の変化など天候が悪い日には耳の詰まりや吐き気が悪化する傾向もありました。

原因を調べるため医療機関を受診し、胃カメラ検査では軽度の胃粘膜の荒れを指摘されました。また耳鼻科では、耳のリンパ液が溜まっている可能性を指摘されたものの、症状の原因を明確に説明できる診断には至っていませんでした。

加えて、耳と吐き気だけではなく、

胃痛、便秘、生理不順、片頭痛、腰痛

など、複数の身体症状も抱えていました。

耳だけ、胃だけという単独の不調ではなく、耳症状と消化器症状を中心に複数の不調が重なり、さらに天候や疲労によって症状が変動するという点が今回の症例の大きな特徴でした。

通院頻度・回数

週1~2回 計12回

施術と経過

●初診時の所見

初診時には耳周辺だけではなく、症状と関連している可能性のある身体各部を触診しました。

そこで特に目立ったのが、顎・頸部・上腹部の強い緊張でした。

今回の症例では耳閉感と同時に吐き気や胃痛、便秘などの消化器症状もみられていたため、耳周囲だけを施術するのではなく、顎・首・腹部の状態をそれぞれ確認しながら施術を組み立てました。

顎の緊張に対しては手首、首肩の緊張に対しては手の甲や骨盤、さらに上腹部の反応を確認しながら下腿のツボを使用しました。

初回の施術直後には、耳の詰まりや吐き気に明確な変化はみられませんでした。

しかし、もともと1年以上前から吐き気を繰り返し、耳閉感についても良い時期と悪い時期を周期的に繰り返していたことから、1回の施術による変化だけで判断せず、身体の状態を確認しながら継続して施術を行うことにしました。

【第1〜3回目】

初回施術後には大きな自覚的変化はありませんでした。

そこで、顎・首・上腹部の緊張を確認しながら、基本的には同じ施術方針を継続しました。

数回施術を重ねていくと、それまで頻繁に繰り返していた両耳の詰まりが起こる頻度に変化が現れ始めました。

「耳が詰まるか、詰まらないか」だけではなく、調子の良い時間や日が少しずつ増えていくという経過をたどりました。

【中盤】

さらに施術を継続すると、耳症状だけでなく胃の不調にも軽減がみられるようになりました。

一方で、経過が常に右肩上がりだったわけではありません。

悪天候の日や身体に疲労が溜まったときには、一度軽くなっていた耳の詰まりや吐き気が再び強くなることもありました。

ただし、そのたびに最初の状態へ完全に戻るわけではなく、施術を継続する中で症状が出現する頻度そのものが徐々に少なくなっていきました。

【第12回目】

計12回の施術を行った段階では、両耳の詰まり感と吐き気が起こる頻度が大幅に減少しました。

以前は「2日良くなって2日悪くなる」というように頻繁に繰り返していた耳の状態も安定するようになり、胃の不調についても来院当初と比較して軽減しました。

症状が完全に一定になるまでには時間を要しましたが、耳や胃の不調を気にしながら生活する時間が少なくなり、日常生活における煩わしさも大きく軽減しました。

特に効果のあったツボ(施術部位)※L=左側,R=右側

養老 R

手首から顎関節を整える目的で使用しました。

三陰交 LR

下腿から身体全体のバランスを整える目的で使用しました。

精霊 R

手から上半身の筋緊張を調整し、顎や首周囲への負担を軽減する目的で使用しました。

臀蓋 R

骨盤周囲から姿勢調整を行い上半身の緊張を調整する目的で使用しました。

 

※実際の施術では、その日の身体の状態を確認したうえで使用するツボを選択しています。

※以上のツボ以外にも合計10か所以下を施術

当院(鍼灸TAKA)の考察

今回の症例で当院が特に注目したのは、耳の詰まり感だけではなく、吐き気や胃痛などの消化器症状が同時に存在していたことです。

耳鼻科ではリンパ液の貯留の可能性を指摘され、胃カメラでは軽度の胃粘膜の荒れが確認されていました。

しかし今回の場合、耳症状と胃症状をそれぞれ別の問題としてみるだけではなく、身体全体の状態を確認する必要があると考えました。

実際に触診すると、顎や首だけでなく上腹部にも顕著な緊張がみられました。

 

さらに、耳閉感や吐き気は常に同じ強さではなく、天候や疲労によって悪化するという特徴がありました。

当院ではこのように症状が複数存在する場合、耳閉感だから耳だけ、吐き気だから胃だけというように施術部位を決めるのではなく、実際に身体を触診して確認できる緊張や反応を一つずつ整えていくことを重視しています。

今回も顎・頸部・上腹部の緊張を指標として施術を継続しました。

 

初回から劇的に症状が変化した症例ではありません。

むしろ、施術を重ねる中で耳の詰まりが起こる頻度が徐々に減り、それに伴って胃の状態も安定していくという経過でした。

途中では悪天候や疲労をきっかけに症状が再び強くなることもありましたが、最終的には12回の施術で耳閉感と吐き気の出現頻度が大幅に減少しました。

この「症状の頻度が減った」という点も重要です。

 

今回のように良い日と悪い日を繰り返す症状では、一時的に症状がなくなったことだけで改善を判断することは難しいからです。

「何日間調子が良かったか」「悪化する頻度がどう変化したか」「悪化しても以前より早く落ち着くか」など、一定期間の変化をみながら評価する必要があります。

 

また、耳閉感と吐き気を伴う場合には、内耳疾患をはじめ医療機関での検査が必要となる病気も考えられます。そのため、まず耳鼻科などで適切な検査を受けることが重要です。

そのうえで、「検査を受けても耳の詰まりと吐き気を繰り返す」「天候や疲労によって耳と胃の調子が一緒に悪くなる」「複数の不調が重なっている」という場合には、耳だけではなく首・顎・腹部を含めて身体全体の状態を確認することも一つの選択肢になると当院では考えています。

天候によって耳の詰まりや吐き気を繰り返している方へ

耳の詰まりや吐き気が良くなったり悪くなったりすると、「今日は大丈夫だろうか」と体調を気にしながら生活すること自体が負担になることがあります。

特に、天候が悪くなると耳が詰まる、吐き気や胃の不調も一緒に現れる、病院で検査を受けても症状を繰り返しているという方は、耳だけでなく顎・首・腹部など身体全体の状態を確認してみることも大切です。

「自分の耳の詰まりも鍼治療の対象になるのか」「吐き気も一緒にあるけれど相談してよいのか」という方は、お気軽にご相談ください。

現在の状態を確認したうえで、当院で対応可能かどうかも含めてご案内いたします。

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