高熱後に現れた左耳のキーン・シーンという耳鳴り

30代・男性
担当鍼灸師:渡辺 賢司

30代男性の患者様が、左耳に続く「キーン」「シーン」という耳鳴りを主訴に来院されました。

症状が現れる前には高熱があり、それに伴って強い頭痛も生じていました。頭痛については病院で治療を受けたことで改善しましたが、その後、仕事中に耳の聞こえ方に違和感を覚えるようになりました。

特に気になったのが、職場で使用されている機械のアラーム音でした。

それまで普通に聞こえていた高い音が、左耳では聞こえにくく感じるようになり、左右の耳で音の聞こえ方が違うように感じていました。

病院を受診して聴力検査を受けましたが、検査上の聴力は正常範囲内でした

しかし、本人としては明らかに左耳の高い音が聞こえづらい感覚があり、当初は耳が詰まったような耳閉感も伴っていました。

その後、耳閉感については自然に消失しましたが、左耳の「キーン」「シーン」という耳鳴りは残りました。

この耳鳴りには特徴があり、朝起きた直後にはほとんど感じませんでした。

一方で、仕事中に事務所にいるときや、自宅の室内などでは耳鳴りを感じやすく、周囲の環境によって耳鳴りの感じ方に違いがありました。

また、高熱後から下を向くと気持ちが悪くなるという症状も出ていました。

仕事や日常生活ができなくなるほどではありませんでしたが、「検査では問題がないと言われたものの、以前とは耳の聞こえ方が違う」「室内にいると耳鳴りが気になる」という状態が続いていたため、鍼治療を希望して来院されました。

通院頻度・回数

週2回 計3回

施術と経過

●初診時の所見

初診では耳の症状だけではなく、顎・首・肩など耳周囲と関係する部位についても触診を行いました。

特に目立っていたのが、顎周辺の筋緊張の左右差でした。

耳の近くには顎関節や咀嚼に関係する筋肉があり、顎周辺の状態と耳の違和感が同時にみられるケースもあります。

そこで今回は、耳鳴りが出ている左耳だけに施術するのではなく、左右差が確認された顎周辺の緊張を整えることを一つの施術方針としました。

さらに、「下を向くと気持ち悪くなる」という訴えもあったため、首・肩周囲やふくらはぎなどの状態についても確認しました。

触診するとこれらの部位にも緊張が認められたことから、耳鳴りだけを個別に捉えるのではなく、身体全体の緊張状態を確認しながら施術を組み立てました。

手首・骨盤のツボを中心に使用し、加えて臀部のツボにも鍼を行いました。

【第1回目】

初回施術後、耳鳴りそのものが完全になくなったわけではありませんでしたが、患者様からは**「耳鳴りの音が少し高くなった感じがして、以前より気にならなくなった」**との報告がありました。

耳鳴りでは「音が消えたかどうか」だけではなく、音質や大きさ、気になる頻度などが変化する場合があります。

今回は初回から耳鳴りの感じ方に変化が現れたため、その後も身体の状態を確認しながら同様の施術方針を継続しました。

【2~3回目】

2回目以降も、顎周辺の左右差や首・肩などの緊張を確認しながら施術を行いました。

施術を重ねるにつれて、仕事中や自宅の室内で感じていた耳鳴りの存在感が徐々に小さくなっていきました。

最終的には、耳鳴りをほとんど意識せず生活できる状態まで改善しました。

計3回の施術で大幅な改善がみられたため、耳鳴りに対する施術は終了としました。

施術期間中に耳鳴りが再び大きくなったり、新たな耳症状が現れたりすることもありませんでした。

特に効果のあったツボ(施術部位)※L=左側,R=右側

養老 L

手首周辺から顎や首周囲の緊張を整える目的で使用しました。

膀胱兪 L

骨盤周囲から身体全体の緊張を調整する目的で使用しました。

二ノ臀 LR

臀部から首・肩を含めた身体の緊張を整える目的で使用しました。

 

※実際の施術では、その日の身体の状態を確認したうえで使用するツボを選択しています。

※以上のツボ以外にも合計10か所以下を施術

当院(鍼灸TAKA)の考察

今回の症例で特徴的だったのは、病院での聴力検査では正常範囲だったにもかかわらず、本人には左耳の高い音が聞こえにくい感覚と、「キーン」「シーン」という耳鳴りが残っていたことです。

特に職場の機械のアラーム音など、高い音に対して左右の聞こえ方に違いを感じていました。

また、耳鳴りは一日中同じように聞こえていたわけではありません。朝起きた直後にはほとんど感じず、仕事中の事務所や自宅の室内では耳鳴りが目立つという特徴がありました。

このように、検査結果だけでは捉えにくい「聞こえ方の違和感」や、時間帯・環境によって変化する耳鳴りについては、耳の状態だけでなく、身体の緊張状態も含めて確認することが重要だと鍼灸TAKAでは考えています。

 

今回の患者様を触診すると、特に顎周辺の緊張に左右差があり、さらに首・肩周囲にも緊張が確認されました。

そこで当院では、耳そのものに直接アプローチするのではなく、顎や首肩など耳周囲と関係する部位の緊張を整えることを施術のポイントとしました。

その結果、初回施術後から耳鳴りの音質に変化が現れ、「以前より気にならない」という変化がみられました。その後も施術を重ね、3回の施術で耳鳴りをほとんど意識せず生活できる状態まで改善しました。

 

今回の経過から、鍼灸TAKAでは、病院の検査で大きな異常が確認されない耳鳴りであっても、顎・首・肩などに強い緊張や左右差がみられる場合には、そうした身体の状態を整えることが症状改善につながる可能性があると考えています。

また耳鳴りを評価する際には、単に「耳鳴りがある・ない」だけではなく、音の種類、大きさ、気になる時間帯や場所、聞こえない時間があるか、日常生活でどの程度意識するかまで確認することも重要です。

今回のように、「聴力検査では正常と言われたけれど聞こえ方がおかしい」「耳鳴りだけが残っている」というケースでは、耳だけではなく身体全体の状態を確認することが、施術方針を考えるうえで一つのポイントになると考えています。

高熱の後から耳鳴りや聞こえ方がおかしくなった方へ

今回の患者様は、高熱と頭痛をきっかけとして、その後に耳の聞こえ方の違和感や耳鳴りが現れたという経過をたどっていました。

ただし、高熱そのものが耳鳴りの直接的な原因だったと、この症例だけから判断することはできません。

重要なのは、発熱後に耳の症状が現れたという経過だけで原因を決めつけず、まず医療機関で必要な検査を受けることです。

特に、突然聞こえ方が変わった場合や、片耳だけの耳鳴りに聴力低下・耳閉感・強いめまいなどを伴う場合には、まず耳鼻科を受診することが重要です。

 

今回も病院で聴力検査を受けたうえで来院されており、検査では正常範囲とされていました。

そのうえで当院では、耳そのものだけではなく、初診時に確認された顎の左右差や首・肩などの身体の緊張にも着目して施術を行いました。

結果として初回から耳鳴りの感じ方に変化がみられ、3回の施術後には耳鳴りが気にならない状態まで改善しました。

「検査では正常と言われたけれど、以前とは聞こえ方が違う」「耳鳴りだけが残って気になる」という方も、耳だけではなく、顎や首肩を含めた身体の状態を確認することで、改善の糸口が見つかることがあります。

そのような場合は鍼治療を選択肢の一つとして検討することもできます。

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