約20年間、仕事で集中すると首が痛くなり後頭部に頭痛が出る症例

男性・40代
担当鍼灸師:東尾 静香

20代で社会人として働き始めた頃から、約20年間にわたって頭痛を繰り返していました。

特に症状が出やすいのが、仕事の打ち合わせが続いたときや、長時間人と話したとき、集中して作業を続けたときです。

仕事に集中する時間が長くなるにつれて、まず首に痛みや強いこりを感じるようになり、その後、後頭部を中心に頭痛が出現するというパターンを繰り返していました。

頭痛は一時的なものではなく、1週間のうちに何度も起こる状態が長期間続いていました。

仕事をしている以上、打ち合わせや集中作業を避けることは難しく、そのたびに首の痛みと頭痛を繰り返すため、日常生活だけでなく仕事にも支障を感じるようになっていました。

これまで頭痛について医療機関で詳しい診断を受けたことはありませんでした。

また、頭痛や首の痛みだけでなく、普段から**「呼吸が浅い感じがする」**という自覚もありました。

約20年間という長期間にわたり同じような頭痛を繰り返していたことから、症状の改善を希望して当院へ来院されました。

通院頻度・回数

週1~2回 計10回

施術と経過

●初診時の所見

初診時に身体の状態を確認すると、首から第7頚椎付近、後頭部にかけて強い緊張がみられました。

特にこの方の場合、仕事で打ち合わせが続いたり、長時間人と話したり、集中して作業を続けたりすると首が痛くなり、その後に後頭部の頭痛が起こるという特徴がありました。

当院では、頭痛の原因の一つに首肩こりがあると考えていますが、単純に首肩が硬くなっている部分だけを施術するのではなく、「なぜ首肩が繰り返し硬くなるのか」を重要視しています。

今回のように後頭部を中心に頭痛があり、仕事中に同じ姿勢や集中状態が長く続くタイプでは、当院の頭痛に対する分析の中でも、お尻・骨盤・背骨から首へ負担が連鎖するタイプとの共通点があると考えました。

当院の頭痛ページでも、後頭部や頭全体に重だるさや締め付けられるような痛みが出るタイプでは、座り仕事や立ち仕事などで同じ姿勢を続けることによって臀部の筋肉に負担がかかり、それが骨盤・背骨のバランスを介して首肩こりにつながると分析しています。

長時間同じ姿勢を続けると、臀部や下半身の筋肉が動かない時間が増えます。

その状態が積み重なることで骨盤から背骨にかけての動きが悪くなり、その代償として首から背中に負担が集中しやすくなります。

実際、この方には首だけでなく下腿にも緊張がみられました。

さらに本人からは「呼吸が浅い」という訴えもありました。

仕事に集中して身体が緊張した状態が続けば、背中や胸郭も動きにくくなり、呼吸も浅くなりやすくなります。

 

そのため今回は、

長時間の仕事・集中作業⇒下半身・背中の緊張⇒首から第7頚椎・後頭部への負担⇒首の痛み⇒後頭部の頭痛

という身体の連鎖が、約20年間繰り返している頭痛に関係している可能性があると分析しました。

そこで、痛みを感じている後頭部や首だけに鍼をするのではなく、ふくらはぎ・下腿・背中から身体全体の緊張を整え、結果として首肩への負担を軽減することを施術方針としました。

 

● 施術後の経過

【初回】

初回は、ふくらはぎ・下腿・背中のツボを中心に鍼施術を行いました。

今回の症例では首や後頭部に強い緊張がありましたが、その部分だけを直接刺激するのではなく、長時間の仕事によって生じている身体全体の緊張を確認しながら施術を行いました。

特に下腿から背中の緊張を整えることで、首から第7頚椎、後頭部へ集中している負担を減らすことを狙いました。

約20年間続いている慢性的な頭痛であるため、初回だけで判断せず、頭痛が起こる**「頻度」**がどのように変化するかを確認しながら継続することとしました。

【2回目】

2回目の来院時には、

「頭痛が起こる回数が少し減った」

との変化がありました。

仕事で長時間集中したときには首の張りが出るものの、以前より頭痛につながらない時間が増え始めていました。

そのため、初回と同じく下腿と背中を中心に施術を継続しました。

【3~5回目】

施術を重ねるにつれて、1週間の中で頭痛を感じる回数が徐々に減っていきました。

仕事が忙しかった日や、打ち合わせ・集中作業が長時間続いた日には一時的に首の張りや後頭部痛が出ることはありましたが、以前のように頻繁に頭痛を繰り返す状態から少しずつ変化していきました。

症状が一時的に出ることだけを見るのではなく、**「以前と比べて頭痛が起きる回数がどう変化しているか」**を確認しながら施術を継続しました。

【6~9回目】

この頃になると頭痛の頻度はさらに低下しました。

仕事量が増えると一時的に症状が出ることはありましたが、症状が出ても以前ほど強くならず、日常生活や仕事への影響も少なくなっていきました。

そこで引き続き、頭痛が出ている場所だけを追いかけるのではなく、下腿・背中を中心として、首肩こりを作っている身体全体の緊張を整える方針を継続しました。

【10回目以降】

10回の施術を終える頃には、約20年間繰り返していた後頭部の頭痛は大幅に減少しました。

仕事が忙しいと首に張りを感じることはあるものの、以前のように1週間のうちに何度も頭痛を繰り返す状態ではなくなりました。

使用したツボ(施術部位)

築賓・飛揚

ふくらはぎにあるツボ、長時間の仕事や同じ姿勢によって生じている下半身の緊張を整え、首や背中へかかっている負担を軽減する目的で使用しました。

陰陵泉

膝の内側付近にあるツボ、腹部の張りや緊張を緩和して自律神経(呼吸・腸の促進)を調整する目的で使用しました。

元瑠

下腿全面にあるツボ、腹部の張りや緊張を緩和して自律神経(呼吸・腸の促進)を調整する目的で使用しました。

T5(C)

背中にある反応店、後頭部の緊張緩和する目的で使用しました。呼吸の浅さも訴えていたため、背中の緊張状態を確認しながら施術しました。

まとめ:当院(鍼灸TAKA)の症状の分析

今回の症例は、約20年間にわたり、仕事で打ち合わせ・長時間の会話・集中作業が続くと首が痛くなり、その後に後頭部の頭痛が起こるという特徴を持っていました。

当院では、頭痛を引き起こしている首肩こりに対して、首肩だけを直接施術するのではなく、「その首肩こりを作っている根本原因はどこにあるのか」を仕事内容や生活習慣、身体の特徴から分析しています。

当院の頭痛ページでは頭痛を3つの根本原因に分類しており、そのうち後頭部や頭全体に症状が現れるタイプでは、長時間同じ姿勢を続けることで生じるお尻(骨盤・背骨)の問題を一つの根本原因として考えています。

今回の患者さんも、仕事中に集中した状態が長時間続くことが頭痛の明確なきっかけとなっていました。

 

そのため当院では、

長時間の仕事・集中作業⇒下半身・背中の緊張⇒首から第7頚椎・後頭部への負担⇒首の痛み⇒後頭部の頭痛

という流れを考えました。

 

また、本人が感じていた呼吸の浅さも、この身体の緊張を考えるうえで重要でした。

身体が緊張した状態で長時間仕事を続ければ、首だけでなく背中や胸郭も動きにくくなります。その結果、呼吸が浅くなり、身体が緩みにくい状態が続くことで、さらに首肩の緊張を繰り返すという悪循環につながっていた可能性があります。

その結果、2回目の段階から頭痛の頻度に変化が現れ、その後も施術を重ねるごとに頭痛の回数が減少しました。

10回の施術後には、仕事が忙しいと一時的に症状が出ることはあるものの、長年続いていた頭痛は大幅に軽減しました。

 

今回の症例からも、「後頭部が痛い=後頭部だけを施術する」のではなく、なぜ首肩こりが繰り返されているのかを、その人の仕事・姿勢・身体の使い方まで含めて分析することが重要だと当院では考えています。

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