回転性めまい後に右耳が聞こえにくい聴力低下・耳閉感を繰り返すメニエール病が改善

50代 女性

来院の約1カ月前、突然ぐるぐると回るような回転性めまいが起こり、それと同じ頃から右耳に強い詰まり感を感じるようになりました。

「耳の中に何かが詰まっているような感じ」が続き、右耳の聞こえも悪くなったため医療機関を受診。検査や症状の経過から、メニエール病の疑いと診断されました。

病院で治療を受けたことで、当初は一日中続いていた耳閉感にも少しずつ波が出るようになりました。しかし、完全になくなったわけではなく、

  • 右耳が詰まったように感じる
  • 右耳が聞こえにくい
  • 良い時と悪い時を繰り返す
  • 時折、回転性のめまいが起こる
  • 頭痛を伴うことがある

といった状態が続いていました。

 

特に耳閉感は常に一定ではなく、「今日は少し楽だと思ったら、また詰まってくる」という変動がありました。

病院での治療によって発症直後よりは落ち着いてきたものの、聴力低下と耳閉感が残っていることへの不安があり、さらなる改善を希望して当院へ来院されました。

通院頻度・回数

週1~2回 5回

施術と経過

●初診時の所見

初診時に身体の状態を確認すると、特に目立っていたのが頸部とふくらはぎの強い緊張でした。

メニエール病というと「耳だけの問題」と考えられがちですが、当院では耳周辺だけを見るのではなく、首肩の緊張や全身の循環、自律神経に影響する身体の状態まで確認することを大切にしています。

今回の症例では、頸部の筋肉が緊張しており、さらにふくらはぎにも強い張りが認められました。

首周囲の緊張が強い状態が続くと、頭部や耳周辺の循環にも影響を与える可能性があります。また、ふくらはぎの筋肉は下半身の血液を心臓へ戻す働きにも関係するため、下腿が硬くなっている状態は、全身の循環を考えるうえでも見逃せません。

さらに、この方の場合は「回転性めまい→耳閉感→聴力低下」という経過があり、耳閉感にも日によって波がありました。

そこで、耳の周囲だけに鍼をするのではなく、頸部の緊張と全身の循環を整え、耳への負担を減らしていくことを施術の基本方針としました。

●施術と経過

【1回目】

初回は、頸部とふくらはぎの緊張を確認しながら、ふくらはぎと上肢を中心としたツボに鍼を行いました。

耳そのものへ強い刺激を加えるのではなく、身体の離れた部位から首周囲の緊張や全身状態を整えることを目的に施術しました。

施術後に聞こえの状態を確認すると、初回から聴力に改善が確認されました。

耳閉感そのものはまだ残っていたため、この段階では一時的な変化だけで判断せず、身体の状態を確認しながら施術を継続することにしました。

【2〜3回目】

初回と同じく、頸部の状態を確認しながら、下腿・上肢を中心に施術を継続しました。

施術を重ねるにつれて、これまで繰り返していた右耳の詰まり感が徐々に軽くなり、聞こえにくさも改善していきました。

来院前は耳閉感に波があり、「良くなったと思ってもまた詰まる」という状態でしたが、次第に症状の強い時間が減り、耳の状態が安定する時間が増えていきました。

【4〜5回目】

さらに同じ方針で身体を整えていきました。

右耳の聞こえは安定し、耳閉感による不快感も大きく軽減。施術期間中には、当初心配していたような大きな症状の再燃や、新しい症状の出現も認められませんでした。

計5回の施術を終えた段階で、聴力と耳閉感ともに改善が確認できたため、今回のメニエール病に対する集中的な施術を終了しました。

使用したツボ(施術部位)

膀胱兪

骨盤周囲のバランスを調整し、顎関節を整える目的で使用しました。

合谷

手のツボ、首周囲(特に胸鎖乳突筋)の緊張を調整する目的で使用しました。

手三里

前腕のツボ、首周囲(特に胸鎖乳突筋)の緊張を調整する目的で使用しました。

築賓・飛揚

ふくらはぎの東洋医学のツボ、全身の血流を整える目的で使用しました。

 

※実際の施術では、その日の身体の状態を確認したうえで使用するツボを選択しています。

※以上のツボ以外にも合計10か所以下を施術

まとめ:当院(鍼灸TAKA)症状の分析

今回の症例で当院が特に着目したのは、「ふくらはぎの強い緊張」と「上腕と頸部の緊張のつながり」の2点です。

まず初診時には、ふくらはぎに著しい緊張が認められました。ふくらはぎは下半身にたまった血液を心臓へ戻す働きに関係するため、当院では、ふくらはぎの緊張によって全身の血流が滞りやすい状態になっていたことが、耳症状が改善しにくい背景の一つになっていると考えました。

 

もう一つ特徴的だったのが、上腕の緊張と頸部の緊張との関連です。身体を詳しく確認すると、上腕の特定部位の緊張を整えることで頸部の緊張にも変化がみられました。そのため当院では、上腕の緊張が首を硬くし、その結果として耳周囲への血流を低下させ、右耳の聴力低下や耳閉感に影響していた可能性があると分析しました。

 

そこで施術では、ふくらはぎのツボを使って全身の循環を整えるとともに、上腕のツボから頸部の緊張を緩和することを重点的に行いました。施術後には聴力にも変化が確認され、その後も同じ考え方で施術を継続した結果、5回の施術で右耳の聴力低下と耳閉感が改善しました。

この症例は、耳だけを見るのではなく、「ふくらはぎの緊張による全身の血流低下」と「上腕の緊張から生じる頸部の緊張による耳周囲の血流低下」という2つの経路を見つけ、それぞれにアプローチしたことが改善につながった症例だと当院では考えています。

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