コロナ感染後から朝のだるさ・頭痛・イライラが続いた起立性調節障害の改善症例

10代男子小学生
担当鍼灸師:東尾 静香

年末に新型コロナウイルスに感染した後から、それまでにはなかった朝起きた時の強いだるさや疲れやすさを感じるようになりました。

特に気になっていたのが、朝の目覚めです。十分に休んだつもりでも起床時から身体が重く、以前のようにすっきりと一日を始めることができません。

さらに体調の変化とともに、学校生活でも変化が現れました。

以前なら気にならなかったような些細なことでもイライラするようになり、それに伴って頭痛を感じることも増えてきました。

本人もご家族も「感染後で身体が疲れているのだろう」と考え、できるだけ身体を休ませることで様子を見ていました。しかし、休養だけではなかなか以前の状態に戻りません。

また、この患者さんには足首の痛みもありました。もともと身体を動かすことが好きでしたが、足首が痛むことで思うように運動できず、それもストレスの一つになっていました。

「朝から身体がだるい」「疲れやすい」「学校でイライラする」「頭痛がする」「好きな運動もできない」。

一つひとつは異なる症状に見えますが、身体全体の状態を確認したうえで施術を受けたいと考え、親族からの紹介をきっかけに鍼灸TAKAへ来院されました。

通院頻度・回数

週1~2回 計6回

施術と経過

●初診時の所見

身体を確認してまず目立ったのが、背中が丸くなった姿勢と全身の筋肉の緊張でした。

本人は「だるい」「疲れやすい」と感じていましたが、身体を触診すると、力が抜けているというよりも、むしろ無意識に身体へ力が入り続けている状態でした。

背中が丸まった姿勢が続くと、首や肩、背中などの筋肉に負担がかかります。また、胸郭が動きにくくなることで呼吸も浅くなりやすくなります。

当院では、起立性調節障害など自律神経に関係する不調では、首肩こり、姿勢、腹部の張り、呼吸の浅さなど、普段から身体を緊張させている要因を確認することを大切にしています。

今回の場合は特に、

丸まった姿勢

↓

全身に力が入りやすくなる

↓

身体が十分にリラックスできない

↓

朝になっても疲労感が抜けにくい

という身体の状態が関係している可能性を考えました。

さらに、学校での「イライラ」についても、単純に本人の性格や精神的な問題だけとは考えませんでした。

身体が常に緊張し、疲労が抜けにくい状態が続けば、精神的にも余裕を保ちにくくなります。普段なら気にならない刺激に対しても過敏になり、イライラや集中力の低下などとして現れることがあります。

そこで今回は、感情そのものを何とかしようとするのではなく、まず身体の緊張を緩め、自然に力を抜ける身体へ戻すことを施術の中心としました。

● 施術後の経過

【第1回】

初回は、全身の緊張と丸まった姿勢を整えることを目的として、臀部にある**胞肓(ほうこう)**などを使用しました。

施術後に姿勢を確認すると、背中の丸まりが軽減し、身体全体の力も抜けやすくなりました。

また、本人がストレスに感じていた足首の痛みに対しても施術を行いました。

手足のツボを使って足首周囲の動きを整え、好きな運動を再びできる身体の状態を目指しました。

【第2回】

次回来院時には、

「朝起きた時のだるさが減って、すっきり目が覚めるようになった」

との変化がありました。

さらに足首の痛みも軽減し、少しずつ運動ができるようになっていました。

朝のだるさに早い段階で変化がみられたため、初回と同じく身体全体の緊張を整える方針で施術を続けました。

【第3~4回】

施術を重ねるにつれて、身体的な症状だけでなく学校生活にも変化が現れました。

以前は学校で些細なことにもイライラすることが増えていましたが、

「学校でイライラすることが減ってきた」

とのことでした。

足首についてもほとんど気にせず運動できるようになり、身体を動かす機会が戻ってきました。

身体の調子が整い、好きな運動ができるようになったことも、ストレスの軽減につながったと考えています。

【第5回】

学校生活の中でもイライラすることがほとんどなくなりました。

朝の状態も安定していたため、毎週施術を続けるのではなく、施術間隔を空けて身体の状態を確認することにしました。

【第6回】

施術間隔を空けても、朝のだるさや学校でのイライラなどが再び強く現れることはありませんでした。

そのため今回の症状に対する集中的な施術はいったん終了としました。

もともと怪我をすることが多かったため、その後は身体のコンディションを整える目的で定期的なケアを続けています。

使用したツボ(施術部位)

胞肓

臀部にあるツボです。丸まった姿勢と全身の緊張を整え、身体が自然にリラックスできる状態へ導く目的で使用しました。

巨骨

鎖骨と肩甲骨の間にあるツボです。手首足首の緊張を緩和することから全身をリラックスさせる目的で使用しました。

合谷

手にある代表的なツボの一つです。首コリ(特に胸鎖乳突筋や後頭下筋群)を緩和して頭部の血流改善のために使用しました。

また、上腹部の緊張緩和の目的で使用しました。

下巨虚

下腿にあるツボです。下腹部の張り・緊張や身体全体の状態を確認しながら使用しました。

精霊

手にあるツボです。

※以上のツボ以外にも合計10か所以下を施術

まとめ:当院(鍼灸TAKA)の症状分析

今回の症例で特徴的だったのは、コロナ感染を境に朝のだるさや疲れやすさが現れ、その後、頭痛や学校でのイライラといった症状まで重なっていったことです。

感染後に症状が始まっているため、感染が一つのきっかけになった可能性は考えられます。

ただし、当院では「コロナに感染したから自律神経が乱れた」と単純に考えるのではなく、現在の身体にどのような変化が残っているのかを確認しました。

 

そこで実際に目立っていたのが、丸まった姿勢と全身の強い筋緊張です。

身体に力が入り続けると、首肩や背中の筋肉が緊張し、呼吸も浅くなりやすくなります。

本来であれば、夜は身体がリラックスして休息し、朝になると活動できる状態へ切り替わっていきます。しかし、日中から身体の緊張が強く、睡眠中も十分に力を抜くことができなければ、朝になっても疲労感が残りやすくなります。

このような状態が続くことが、今回の「寝ても朝からだるい」「身体が疲れやすい」という症状に関係していたのではないかと考えました。

 

また、今回もう一つ重要だったのが「イライラ」です。

イライラという症状だけを見ると、思春期だから、本人の性格だから、学校でストレスがあるから、と精神面だけの問題として捉えられがちです。

しかし、身体が常に緊張して余裕のない状態では、気持ちにも余裕がなくなりやすくなります。

今回、本人の性格そのものを変えようとしたわけではありません。

身体の緊張を緩め、姿勢を整え、好きな運動ができる身体へ戻していく。

 

その結果として、朝のだるさが軽減しただけでなく、学校でイライラすることも徐々に減っていきました。

この経過は、今回の患者さんにとって、精神的な症状と身体の緊張が別々の問題ではなかった可能性を示すものと考えています。

 

起立性調節障害では、朝起きられない、だるい、頭痛がする、集中できないなど、一見するとそれぞれ異なる症状が重なって現れることがあります。

鍼灸TAKAでは診断名だけに施術するのではなく、首肩こりや姿勢、腹部の張り、呼吸、身体の緊張など、その患者さんに実際に現れている身体の特徴を探すことを大切にしています。

 

今回のように感染や生活環境の変化をきっかけとして体調を崩した場合でも、きっかけだけに原因を求めるのではなく、「今、身体がどのような状態になっているのか」まで確認することが、施術方針を考えるうえで重要です。

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