
名古屋市緑区の鍼灸院【自律神経専門】
鍼灸TAKA
〒458-0924 愛知県名古屋市緑区有松3408(名鉄本線有松駅から徒歩8分)
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顔面神経麻痺による目の閉じにくさと口元の引きつりを主訴に来院されました。
症状が現れたのは、当院へ来院する約1カ月前のことでした。
最初に感じた異変は顔ではなく、首から耳周辺にかけての痛みでした。その翌日になると突然、顔の動かしにくさが現れ、目や口を思うように動かせなくなりました。
特に困っていたのが、目を強く閉じることができないことです。
普段の生活では、シャンプーをすると目に水が入りやすくなり、入浴時にも気をつけなければならない状態でした。
また、口元にも引きつるような違和感があり、笑顔を作ろうとしても左右で動きに差が出てしまいます。日常会話や食事がまったくできない状態ではありませんでしたが、表情を作るたびに違和感を覚えるため、精神的にも気になる状態が続いていました。
医療機関を受診したところ、顔面神経麻痺の疑いと診断されました。
発症から約1カ月が経過しても目や口の動かしにくさが残っていたため、少しでも回復を促したいと考え、鍼施術を希望して当院へ来院されました。
週1~2回 計6回
●初診時の所見
初診では、顔の動きだけを見るのではなく、首・耳周辺から肩、身体全体の緊張状態まで確認しました。
特に目立っていたのが、耳の後ろにある翳風(えいふう)付近と胸鎖乳突筋の緊張です。
今回の患者様は、顔面神経麻痺が現れる前日に首と耳の痛みを感じていました。
そのため当院では、この「顔の症状より先に首・耳周辺に異変が現れていた」という経過を重要な情報として考えました。
顔面神経は耳の周辺を通って顔へと走行し、まぶたや口元など、表情を作る筋肉の働きに関係しています。
もちろん、首や耳周辺の筋肉が硬いから顔面神経麻痺になる、と単純に説明できるものではありません。
しかし今回の患者様では、発症前から首・耳に痛みがあり、初診時にも耳の後ろから首筋にかけて明らかな緊張が残っていました。
そこで、顔だけに直接施術を集中させるのではなく、首や耳周辺に負担がかかっている身体の状態そのものを整えていくことを施術の軸としました。
● 施術後の経過
【第1回】
初回は、骨盤周囲・手・足のツボを中心に鍼施術を行いました。
顔面神経麻痺だからといって、麻痺している顔だけに多くの鍼をするのではなく、身体の離れた場所にあるツボを利用しながら、首や耳周辺の緊張を変化させていきます。
施術後に再度触診すると、初診時に確認されていた首筋と翳風付近の緊張が緩和していました。
ただし、この時点では患者様自身が目や口の動きに大きな変化を感じることはありませんでした。
顔面神経麻痺では、身体の緊張が変化したからといって、その場ですぐに顔の動きまで変わるとは限りません。そのため、初回の反応を確認しながら継続して経過を見ることにしました。
【第2~3回】
2回目以降も、初回と同じく顔だけを施術するのではなく、骨盤周囲や手足のツボを使いながら、首から耳周辺の緊張を整えていきました。
この段階では、顔の動きに急激な変化が現れたわけではありません。
しかし、触診では首筋や耳周辺の緊張に少しずつ変化が確認できたため、施術方針を大きく変えず継続しました。
顔面神経麻痺では、「施術直後にどれだけ顔が動くようになったか」だけではなく、日常生活の中で目や口がどのように使えるようになっているかも重要な経過の指標としました。
【第4回】
4回目頃から、日常生活の中で分かりやすい変化が現れ始めました。
特に患者様が実感されたのが、シャンプーをしている時に目へ水が入りにくくなってきたことです。
以前はまぶたを十分に閉じることができず、水が目に入りやすい状態でしたが、徐々に目を閉じる動きが戻ってきました。
また、口元の引きつりにも変化が現れ、笑顔を作った時の違和感も少しずつ軽減していきました。
【第5~6回】
その後も同様の方針で施術を継続しました。
目を閉じる動き、口元を動かす感覚ともに徐々に改善し、シャンプーや表情を作る際など、日常生活の中で困る場面が減っていきました。
最終的に計6回の施術で症状は大幅に改善し、施術期間中に大きな再燃や新たな症状は認められませんでした。
膀胱兪
臀部骨盤付近のツボ、骨盤周囲のバランスを調整し、翳風付近(顎関節)を整える目的で使用しました。
合谷
手にあるツボ、首周囲(特に胸鎖乳突筋)の緊張を調整する目的で使用しました。
手三里
前腕後面のツボ、首周囲(特に胸鎖乳突筋)及び鎖骨下の緊張を調整する目的で使用しました。
孔最
前腕前面のツボ、首周囲(特に胸鎖乳突筋)及び鎖骨下の緊張を調整する目的で使用しました。
開魄
足にあるツボ、胸鎖乳突筋特に鎖骨付近の緊張を調整する目的で使用しました。
※以上のツボ以外にも合計10か所以下を施術
今回の症例で特徴的だったのは、顔面神経麻痺が現れる前日に「首と耳の痛み」が出ていたことです。
顔面神経麻痺では、目が閉じられない、口元が動かしにくい、笑顔が左右非対称になるなど、どうしても「顔」に意識が向きます。
しかし当院では、顔の症状だけではなく、発症前後に身体のどこに異変があったのかも確認します。
今回の患者様の場合、
首・耳周辺に痛みが出現
↓
翌日に顔の動きに異常が出現
↓
約1カ月経過しても目や口の動かしにくさが残存
という経過をたどっていました。
そして実際に初診時の身体を確認すると、耳の後ろにある翳風付近と胸鎖乳突筋に強い緊張が残っていました。
当院では、顔面神経麻痺に対して顔面部だけを施術するのではなく、首肩・耳周辺、背中や骨盤など全身の状態を確認することを大切にしています。
首肩や背中などに強い緊張があると、顔面に通じる血流や顔面神経(顔面の筋肉を動かす神経)の循環にも影響を与えたりする可能性があります。
そこで今回は、顔そのものに刺激を集中させるのではなく、骨盤・上肢・下肢など離れた場所にあるツボを使い、まず首筋や耳周辺の緊張が緩みやすい身体の状態へ整えていきました。
初回施術では顔の動きに明確な体感変化はありませんでしたが、首筋と翳風付近の緊張には変化が確認できました。
そのため同じ方針を継続したところ、4回目頃から「シャンプーの時に目へ水が入りにくくなった」という具体的な変化が現れ、その後、口元の動きにも改善がみられるようになりました。
今回の症例からも、顔面神経麻痺では顔がどれくらい動くかだけを見るのではなく、発症前の身体の変化や首・耳周辺の緊張まで含めて状態を確認することが大切だと考えています。
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